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GOOD HEALTH JOURNAL GOOD HEALTH JOURNAL ABOUT MEDICAL SOCIAL SPORTS STORY PICK UP! 診療・実践 研究 教育 MOVIE Tag TOP SPORTS 楽しさの概念『プレイフルネス』に基づいた幼... SPORTS 2024.03.22 楽しさの概念『プレイフルネス』に基づいた幼児期の運動習慣づくりとは~自発的な活動によって生じる楽しさを醸成させる~ #スポーツ健康医科学推進機構 #スポーツ健康医科学研究所 #スポーツ庁×順天堂大学リレーコラム #子ども 「スポーツ庁×順天堂大学リレーコラム」第7回では、幼児期に運動習慣を根づかせるための考え方「プレイフルネス」を通して、幼児が楽しく身体を動かすために、大人が意識すべき内容やメンタル面のアプローチについて、健康心理学が専門の竹中晃二先生(順天堂大学スポーツ健康医科学研究所 客員教授)にお聞きしました。 \n\n\n\n\nリレーコラム第7回! 話を聞いた先生は…\n順天堂大学スポーツ健康医科学研究所竹中 晃二 先生\n \n早稲田大学名誉教授、Doctor of Education(ボストン大学)、博士(心理学) 1975年 早稲田大学教育学部教育学科卒業、1990年 ボストン大学大学院博士課程修了、2011年 九州大学人間環境学府より論文博士取得、早稲田大学人間科学学術院教授を経て現職。\n\n\n"},{"type":"tinymce","label":"本文","rows":8,"id":"id-1xnlp8v9atm","data":"竹中先生の主な著者\n『ヤング中高年:人生100年時代のメンタルヘルス』竹中晃二著 集英社新書、『子どものプレイフルネスを育てるプレイメーカー:プレイフルネス 運動遊びへの招待 』竹中晃二(編著)サンライフ企画、『アクティブ・ライフスタイルの構築―身体活動・運動の行動変容研究―』竹中晃二著 早稲田大学学術叢書 早稲田大学出版、『日常生活・災害ストレスマネジメント教育—教師とカウンセラーのためのガイドブック—』 竹中晃二・冨永良喜(編著)サンライフ企画、『アクティブ・チャイルド60min.―子どもの身体活動ガイドライン』 竹中晃二(編著)サンライフ企画"},{"type":"tinymce","label":"本文","rows":8,"id":"id-r11acgkeyn","data":"身体の健康づくりだけでなく、こころの健康づくりも大切"},{"type":"tinymce","label":"本文","rows":8,"id":"id-hduusmwt51","data":"大人はもちろん、子どもにとっても運動やスポーツが身体の健康によいことは誰もが理解しています。一方、「こころの健康」についてはどうでしょうか。皆さんは、子どもが運動やスポーツを行っているとメンタルヘルス(こころの健康状態)や人との関わり(社会性の形成)においても必ずよい効果をあげることができると言い切れるでしょうか。たとえば、宿題を忘れて校庭を走らされた、苦手な逆上がりを無理にさせられてみんなから笑われて恥ずかしい思いをした、などという経験は、運動やスポーツが「こころの健康」にとってよい効果をもたらすどころか、逆に苦手意識を植えつけてしまうことにもなりかねません。"},{"type":"tinymce","label":"本文","rows":8,"id":"id-1mc2ge5bgdm","data":"私はスポーツ庁と順天堂大学が取り組む令和5年度「幼児期からの運動習慣形成プロジェクト」に事業推進委員として関わっていますが、幼児に対して「何のために運動習慣を身につけさせるのか」を考えてみたいと思います。体力をつけるため、病気にならないため、スポーツの競技ができるようになるためなど、いくつかの理由が挙げられますが、そうした「目的」のために子どもに運動習慣を身につけましょうと言ってみても、もともと身体を動かすことが好きな子どもでなければ、すぐには行動に移せないものです。大人に対しても、たとえば体力をつけるために運動しましょうと言ってみても、「一体、何のために体力が必要なの?」と返されたら、答えに窮する専門家も多いのではないでしょうか。大人もそうですが、押し付けや強制からは、子どもの習慣は生まれにくいものです。","updated":1},{"type":"multi-column-content","label":"画像1枚のみ","options":[[{"type":"image","label":"画像"},{"type":"text","label":"キャプション"}]],"id":"id-nbwa2rg0t1","data":[[{"type":"image","label":"画像","id":"id-eida4ltd8m","data":"3469","url":"/uploads/59ddd6918bf040115a9225f9b3111c4e3a974ddc.JPG","thumbnail":"/assets_c/2024/03/59ddd6918bf040115a9225f9b3111c4e3a974ddc-thumb-120xauto-3469.jpg"},{"type":"text","label":"キャプション","id":"id-jrd6j4lj96","data":"竹中 晃二 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大人はもちろん、子どもにとっても運動やスポーツが身体の健康によいことは誰もが理解しています。一方、「こころの健康」についてはどうでしょうか。皆さんは、子どもが運動やスポーツを行っているとメンタルヘルス(こころの健康状態)や人との関わり(社会性の形成)においても必ずよい効果をあげることができると言い切れるでしょうか。たとえば、宿題を忘れて校庭を走らされた、苦手な逆上がりを無理にさせられてみんなから笑われて恥ずかしい思いをした、などという経験は、運動やスポーツが「こころの健康」にとってよい効果をもたらすどころか、逆に苦手意識を植えつけてしまうことにもなりかねません。 私はスポーツ庁と順天堂大学が取り組む令和5年度「幼児期からの運動習慣形成プロジェクト」に事業推進委員として関わっていますが、幼児に対して「何のために運動習慣を身につけさせるのか」を考えてみたいと思います。体力をつけるため、病気にならないため、スポーツの競技ができるようになるためなど、いくつかの理由が挙げられますが、そうした「目的」のために子どもに運動習慣を身につけましょうと言ってみても、もともと身体を動かすことが好きな子どもでなければ、すぐには行動に移せないものです。大人に対しても、たとえば体力をつけるために運動しましょうと言ってみても、「一体、何のために体力が必要なの?」と返されたら、答えに窮する専門家も多いのではないでしょうか。大人もそうですが、押し付けや強制からは、子どもの習慣は生まれにくいものです。 竹中 晃二 先生 幼児を対象にした「運動遊び」についても同様です。体力増強、運動スキルの向上、肥満防止など、「〇〇のため」といった目的意識が前面に出ている運動が子どもにとって本当に楽しめるものになっているのかどうかは、今一度問い直してみる必要がありそうです。大人は、遊ばせる(指導する)ことに熱心になるあまり、子ども自身の中から自発的に生まれてくる遊びに対する気持ちにフタをしてしまっている可能性はないでしょうか。本来、子どもにとっての「遊び」とは、行う前に「楽しそう」、行っている最中に「楽しい」、そして、行った後に「楽しかった」という感情がわいてくるものです。これは運動遊びでも同じだといえます。 近年、運動遊びに関連して「プレイフルネス(playfulness)」という用語がよく用いられるようになりました。一般的に、遊びを意味する「プレイ(play)」という用語は、スポーツやゲーム、演劇などでも用いられていますが、心理学的な意味で用いられるプレイにはいくつかの条件があります。まず、自主的な行為であり、その人にとって価値がある内容であること、行うこと自体が目的になっていること、実践者がストレスを感じることなく安全な環境で行えること、目的志向ではないこと、繰り返し行える内容であること、などの要素が含まれる必要があります。プレイフルネスとは、子どもの運動遊びと心理社会的な効果とを結びつけた概念です。プレイフルネスは主に、子どもの発達発育について、遊びを通して観察され、心的外傷(トラウマ)を抱えた子どもの回復についての研究領域で発展してきました。 私が主に研究や提案に取り組んでいるのは、プレイフルネスの考え方を運動遊びの場でどのように活用できるのかということです。これは、運動遊びを行えばすべて心理的な効果が得られるというよりは、プレイフルネスの要素を運動遊びの中に意図的に取り入れることで、結果として心理的効果を高めることにつながるという『媒介効果』の考え方です。つまり、単に運動遊びを行うだけではなく、そこにプレイフルネスの要素を意図的に盛り込む必要性があるのです。 さまざまな観点からみた結果、プレイフルネスを形づくる5つの要素が導き出されています。 1.行っていることそれ自体に夢中になれる「没頭」 2.自分の意志で行っている「自己決定」 3.うまくできるようになることで得られる「有能感」 4.他者とうまく遊ぶための知恵としての「集団ルール」 5.友人や家族などとの有効な関係づくりを意味する「人とのつながり」   これらに、運動遊びをすることによる「楽しさ」を加味することで、結果的に心理社会的効果が生み出しやすくなると考えられます。 身体とこころ、人との関わりから生まれるポジティブ・メンタルヘルス 私がこうした研究に関心を持つきっかけになったのが、関西学院大学の教員時、1980年代末に留学したボストン大学での体験でした。欧米では既にメンタルヘルスに対する研究が進んでいて、職場や学校でポジティブ・メンタルヘルスを育むことを目的に、多くのプログラムが実施されていました。また、メンタルヘルス・プロモーションとして、日ごろからメンタルヘルスに対する意識や関心を高め、さまざまな予防行動を行いやすくする認知行動的なアプローチが行われていました。身体を動かし、規則正しい食事をし、人との関わりによろこびを見い出すことで、ネガティブなことばかりに目を向けがちな日常からポジティブ・メンタルヘルスを強化することができます。 それまで私は主に筋のバイオフィードバックについての研究をしていたのですが、欧米での先進的な研究に触れ、日本でも遅かれ早かれ、こうしたメンタルヘルス問題の予防が注目されるだろうと考えていました。そのような折、帰国後まもなくして阪神淡路大震災が発生しました。当初、大人たちは自分たちのことで手一杯でしたが、しばらくすると子どものメンタルヘルスが問題視されるようになり、私も被災地の子どもに対して、ストレスを自分で管理させるストレスマネジメント教育を実施しました。実は震災によって大人以上に、子どものメンタルヘルスは大きな影響を受けていたのです。 その後の東日本大震災発生時もストレスマネジメント教育のテキストを配布するなど、さまざまなアプローチを行いましたが、東北特有の我慢強さもあってか、心の内を表に出さない子どもが少なからずいました。こうした我慢が長引く避難生活の中で、ある日突然フタが開いてこころの問題が重症化するリスクを防ぐ必要性も感じました。そこで、予防としてのメンタルヘルス・プロモーションに目を向けるようになり、プレイフルネスの要素を強調した運動遊びを行わせることでトラウマから回復を促すことができるという海外での事例なども参考にし、ポジティブ・メンタルを強化する「こころのABC活動」に取り組むようになったのです。 「こころのABC活動」とは、精神的に苦しい状態にならないように、日ごろから次の3つを心がけて行っておくことです。   ・A(Actアクト) からだもこころも、人とも活動的になろう ・B(Belongビロング) グループや会に入って活動しよう ・C(Challengeチャレンジ) ハードルが低い、新しいことにチャレンジしよう   これらの活動は、前述のように、プレイフルネスの要素を強調した運動遊びとも共通する指針です。子どもだけでなく大人にも適用することができますが、共通することは、からだとこころ、人との関わりによって、自分のメンタルヘルスをよくする活動を日常的に行い、大きなダメージの回避につながることを目指している点です。 幼児の運動習慣づくりに大人たちがすべきこと こうしたことを踏まえながら、幼児期からの運動習慣の形成について考えてみたいと思います。全国で運動習慣づくりの普及啓発イベントが盛んに行われていますが、習慣形成はイベントだけで成し遂げられるものではなく、イベントはあくまでも動機づけのためのきっかけづくり、全体の活動の一部として捉えるべきでしょう。また、そもそもこうしたイベントに参加する保護者や子どもたちは、運動習やスポーツに関心が高い、もしくは既に習慣づくりができているケースが多く見受けられます。したがって、本来ターゲットとして捉えるべきなのは、運動やスポーツに関心の低い保護者とその子どもではないでしょうか。 では、こうした関心の低い保護者に対してどのようなアプローチが有効なのかを考えてみましょう。動機づけとしては、次のような働きかけが考えられます。   ・『リスク認知を高める』あなたの子どもがこのまま身体を十分に動かさないでいると運動嫌いになってゲームに依存し、健康が悪化するなどのリスクが大きくなりますよ。 ・『自己効力感が高まるような内容を紹介する』「この程度のことならできそう。やってみよう」と思わせ、できるできないにかかわらず、行ったこと自体を褒めてあげましょう。 ・『成果への期待を高める』少しでも子どもに身体を動かすように働きかけておけばこんなによいことがありますよ(たとえば、子どもが明るくなる、友だちとよい関係が築ける、親子関係が良好になる等)。 ・『楽観的にさせる』「だめでもともと、やらないよりはやったほうがよ、できるよ」と気軽に考えさせましょう。 また、子どもに対しては、 ・「身体を動かすことを応援し、褒めることで継続したいという気持ちにさせる」 ・「子どもと一緒に身体を動かす」 ・「公園や会場への送迎や道具を提供するなどのサポートをする」 ・「子どもの前で手本を示して、自らがロールモデルになる」 などのアプローチが有効だと考えられます。 いずれにしても、保育者や保護者などの大人側に対しては、「何のためにこれが必要なのか」といった動機づけはある程度必要になりますが、子ども、とりわけ幼児はそうした理屈では動いてくれません。ただ単に身体を動かすのはよいことだ、スポーツさえ行えばよいのだということではなく、どのように子どもに働きかければ彼らの動機づけが高まりやすいのかを考える必要があります。その根底にあるのが、「楽しさ」に基づいたプレイフルネスの考え方です。 私と長年親交のあるスポーツ少年団の団長がこんな話をしていました。幼児に運動遊びをさせていたところ、実に楽しそうに遊んでいたのですが、休憩時間に入った途端、「ねえ、遊んでいい?」と言ってきたというのです。つまり、子どもにとって大人から提供される遊びは遊びではないのです。まさにプレイフルネスによって、大人側は子どもに対して自発的に楽しく身体を動かせるように「仕掛け」を考えていく必要があるのではないでしょうか。 *メンタルヘルス・プロモーションについては、以下、「サイクリング・サイコロジー」のデジタルブックをを参考にしてください。 外部リンク Related Articles関連記事 2022.11.29 幼児期の"運動遊び"の経験が、未来へつづく元気な体を育む!<スポーツ庁×順天堂大学リレーコラム:第1回> 2022.12.27 将来の健康のために、乳児期からできることとは?<スポーツ庁×順天堂大学リレーコラム:第2回> 2023.02.06 しっかり動ける体が子どもの"正しい姿勢"をつくる<スポーツ庁×順天堂大学リレーコラム:第3回> 2023.03.06 幼児期の運動は非認知スキルを伸ばすのに役立つ?<スポーツ庁×順天堂大学リレーコラム:第4回> 2023.03.22 保護者のフィジカルリテラシーが子どもの運動機会を左右する<スポーツ庁×順天堂大学リレーコラム:第5回> 2023.06.07 「できる」より「心を育てる」運動を子どもの習慣に<スポーツ庁×順天堂大学リレーコラム:第6回> Profile 順天堂大学スポーツ健康医科学研究所 客員教授竹中 晃二 この記事をSNSでシェアする And more... 2024.04.08 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